アドバイザーからの活動報告

投稿日:2025/11/11


アドバイザーのお名前:佐藤 可奈


タイトル:多職種連携プラス地域連携で熱中症対策向上


期間:2025年05月20日~ 2025年09月30日


取り組み内容:

当施設は人間ドック・健診を主とした施設である。当施設の目標の1つとして、専門性を生かした身体活動・生活指導などの健康教室を行う疾病予防拠点を目指すことが挙げられ、毎年熱中症対策を健康教室の一環として実施している。今年度は3つのことを注力し活動を行った。
①多職種連携:救急科医師、栄養士、看護師、運動指導士の協力のもと5月20日には熱中症対策イベントとして「5月からはじめる熱中症予防」として60分の市民講座を実施した。
②地域連携:倉敷・総社温暖化対策協議会と連携し、市民向け熱中症対策セミナーを8月と9月に2回開催した。
③個別対応:5月より毎日12時より、健診者および市民を対象に熱中症予防の啓発活動を実施した。暑い時間帯を施設内で過ごし避暑地としての役割を果たした。健康教室として熱中症対策を広報しながら、一緒に個々の熱中症対策を考える場を設け、服薬内容、既往疾患などを考慮した対策を講じた。健康教室の内容は、講義のみではなく運動も含め実施し30分の枠とした。また講義内容は時期に合わせて5月は暑熱順化やエアコンの試運転、6月中旬からはイオン飲料水の摂取方法や注意点などと変更しながら実施した


工夫したポイント:

当施設の健診者は1日約200名で、年齢層は幅広く、高齢者が多いことが特徴である。また、当施設は近隣地域のハブ的役割を担っている。健康教室では情報提供の一環として持ち帰り可能な資料を準備し、自宅でも繰り返し確認できるよう今年度も内容を改訂した。
今年度は個々の状況に応じた熱中症対策を検討するため、内服薬の確認を行い、必要に応じてナトリウムやカリウムの濃度を考慮した対策を講じ、不安なく個別対応ができる環境づくりを目指した。講義スタイルは引き続きcall&response形式を採用し、各年代が興味を持てるよう工夫した。
健康教室およびインスタグラムでは、自宅で調製できるドリンクレシピを掲載し、マイボトルの持参を推奨した。夏前から運動指導士による運動習慣の定着を図ることで、高齢者の熱中症対策を強化した。
今年度は特に多職種連携に注力し、救急科医師には暑熱順化について講義を依頼し、栄養士には複数の食事内容のバージョンを作成いただき、運動指導士には手軽にできる運動習慣をレクチャーいただいた。


SDGs達成につながるアクション:

当院栄養士監修のオリジナルの熱中症対策ドリンクレシピ・アイススラリーを公開し、マイボトル持参を提案した(ゴール12,14)


取組成果:

健康教室では参加者から多くの相談をいただき、個々に合わせた対策を一緒に考えることで、「自分でできる熱中症対策を知れてよかった。」「薬も飲んでいるし水分摂取も制限があるからずっと悩んでいたのよ。色々と相談できてよかったです。」など、多くの反響を得ることができた。
健康意識を高めることで運動習慣を身につけ、持続的な熱中症対策を講じるため、運動教室も定期的に開催した。①の市民講座では定員を超える150名の参加があり、前年より50名増加した。参加者の年齢層は幅広く、倉敷市のみならず様々な市町村からの参加があり、大盛況となった。
アンケート結果では「エアコン試運転します!」「暑熱順化についてよくわかりました。」など、97%の方から満足との回答を得た。参加者からの質問も多岐にわたり、多くの方が自分自身でできる熱中症予防を体得したと考える。
②の倉敷・総社温暖化対策協議会との連携セミナーでは、これまで参加が難しかった年齢層や対象者にもご参加いただき、温暖化対策とともに学びを得る機会となった。特にセミナー後には多くの質問をいただき、熱中症に対して自分ができる対策を考え、行動するきっかけとなった。